近年メディアなどを通じて、テクニカルダイビングという言葉をよく耳にするようになりました。単なるレクリエーショナルスキューバの限界を超える、従来のレジャーとは一線を画す定義付けがされています。水深40メートルを超えるような場所まで行くことが可能です。
テクニカルダイビングでは、緊急時でも簡単に水面に上ることができません。そのためダイバーは幅広い手順や技術を習得する必要があり、追加される機器に対するトレーニングも必須です。ただ、十分な訓練を行ったとしても、一般的なダイビングと比較するとより多くのリスクや潜在的な危険性が存在し、エラーの連鎖にかかる時間は短くなります。常に大きな、かつ多くの危険が伴うため、心と体の調子を整えておくコンディション管理も必要です。
しかしその一方で、テクニカルダイビングには大きな可能性が広がっており、挑戦したいと考える人は増加傾向にあります。どのような楽しみ方があるのか、考察してみるとさらに興味が湧き、面白いです。
まずテクニカルダイビングでは、昨今まで主流が続くレクリエーショナルダイビングに比べるとはるかに深い場所へ、経験が豊富で、かつ資格を有するダイバーが行うエクストリームスポーツと言えます。付加される危険性を管理するため、極めて多くの機材やトレーニングが必要とされるため、あらゆる意味で大きく区別されています。
この方法は、すべてのダイバーのためにあるものではありません。ただ挑戦したいことを探している人や、一般的な潜り方に少し飽きてきた人にとっては、掲げる目標として申し分はありません。重大な危険が伴うだけではなく、より多くの労力や訓練・機材が必要とされます。それでも、少しの人しか行けない水中世界を体感してみたいと考える人は多く、大人になってもチャレンジ精神を忘れないタイプにはもってこいの挑戦です。
壮大で、ほとんど手付かずの大自然が広がっていることを想像するだけで、興奮すること請け合いです。深場のリーフでは、深さ数メートルの浅い位置では見ることのできない生物がいます。テクニカルダイビングが要求するものに焦点を当てたり、最先端のテクノロジーに関わりたいダイバーにとっても、新鮮な驚きが存在しています。
テック・ダイビングでは、レクリエーショナルダイビングよりもはるかに多くの機材を使用します。タンクも一般的には1本しか使用しませんが、テクニカルでは2本から4本のタンクが必要です。それに伴うバックアップ付のBCDやシリンダーと同数のレギュレーター・減圧ダイビング用のダイブコンピューター・バックアップに加えて、その他のアクセサリー機材も用意しなければいけません。多くの知識や経験が必要なので、個人というよりもショップなどを巻き込んだ準備が必須です。経験者にレクチャーを受けることで、少しずつ準備を進めていく慎重さも求められます。
訓練や用意は大変ですが、一度ハマると抜け出せない魅力がテクニカルダイビングにはあります。